新規開業統計2011年より

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日本政策金融公庫が公表している統計で、2011年の開業者のアンケート調査があります。これから開業される方で国金に借り入れをしたいという方には、自分の位置づけを知るという点では参考になる資料です。その統計について、所見をまじえながらまとめてみたいと思います。

開業費用(平均)

1991年の調査開始以来、94年の1775万円がピークで、直近の2011年の1162万円がミニマムとなっており、長期的に減少傾向にあります。これは不況の影響でしょう。

ここから自己資金を逆算すると、融資額の2分の1なら500〜600万円、3分の1なら400万円弱が平均ということになります。そう考えると自己資金は500万円がひとつの目安でしょう。(ただし、これはあくまで平均値で、業種を考慮したものではありませんが)

開業費用(分布)

開業費用の分布としては、1000万円以上の割合が94年で52.3%だったのが、2011年で33.7%となっています。これに対して、500万円未満の割合が、同時点の比較で19.6%から39.8%に増えています。これも不況の影響と考えられますが、小さく始める人が増えたということが言えます。

売上高(月商平均)

92年の541万円がピーク、2011年の333万円が最小となっています。

開業時の平均年齢

91年時に38.9歳だったのが、2011年は42歳となっており、長期的にみて上昇傾向にあります。企業のリストラで早期希望退職者などが増えた影響もあるかと思います。

年齢の分布をみると、2011年は、30代が39.2%ともっとも多く、ついで40代が28.4%、20代は8.2%、60歳以上は6.6%となっています。

なお、日本政策金融公庫は、若者や高齢者の創業支援にも力をいれており、女性、若者/シニア起業家支援という融資枠を設けています。

売上げ(開業前の予想とのちがい)

統計にはいろいろな要素があり、個々の企業によってまったく事情が異なるでしょうし、あまり個別の参考にはならないような気がします。(たとえば、「思ったより需要がなかった」17%とありますが、「思ったより需要があった」も15.6%あります。)しかしながら、特に目立つ項目を挙げれば、「思ったより客単価が低かった」20.7%、に対して、「思ったより客単価が高かった」7.2%は、両者の差がもっとも大きく、「思ったより客単価が低かった」と答えた人は、アンクケートでもっとも多い結果となっています。

したがって、この統計から、客単価は予想するのがむずかしいということが言えるかと思います。

支出(開業前の予想とのちがい)

開業前に知らなかった支出があると答えた人は41.7%で、そのうちもっとも多い項目は、「原材料費や仕入れ価格が予想以上だった」が25%です。

甘すぎる損益予測は、審査でもマイナスとなります。運良く審査を通ったとしても、事業開始後に「こんなはずではなかった」と慌てるはめになりかねません。安全性、確実性を高めるためには、できるかぎり専門家の活用をお勧めます。

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