開業融資 Q&A

公庫や自治体に開業融資を申し込む場合、審査期間はどれくらいか?

日本政策金融公庫の新創業融資の審査期間は、1ヶ月ないし1ヶ月半です。いっぽう、信用保証協会の保証つきの自治体制度融資の場合、1ヶ月から長い場合で3ヶ月です。役所、信用保証協会、銀行と関係先が増える分、審査の時間は長くなります。

公庫の創業融資と自治体の制度融資を同時に出してもよいか?

審査に通るかどうか不安な人は、同時に出すことも考えるでしょう。もちろん、それは不可能ではありません。ただ、仮に両方の審査を通過した場合、一方を辞退するか、両方の金利を払っていくかの選択を迫られることになります。辞退した場合、金融機関のデータベースにその記録が残りますから、次に資金が必要になったときには不利な材料となる可能性があります。もちろん辞退をしない選択もありますが、この場合、金利をダブルで払うことになりコストが余計にかかります。

したがって、ダブルで申請をする場合は、これらのことを踏まえて慎重に検討をしなければなりません。

親からの資金提供は自己資金として認められるか?

親からのお金を借りた場合は、自己資金としては認められません。しかし、贈与で返済義務がないのであれば、自己資金として認められる可能性はあります。

なお、自分で用意したお金がゼロと言う場合は、自己資金がある場合より一般に審査は厳しくなるものと考えて下さい。自治体融資の場合、自己資金の規制がない場合があるので自己資金ゼロでも審査を通る可能性は確かにあります。しかしながら、いままで全く起業資金の準備を全くしていなかったとなれば、審査担当者に熱意ややる気を疑われかねません。

許認可取得は、融資のあとからでもよいか?

役所の許認可が必要な業種については、事前に許認可を取得することが必要です。しかし、許認可の取得には時間がかかり、その間に賃貸契約の費用も支払わなければなりませんから、できれば借入はできるだけはやくなるようにしたいところです。

そこで、借入申し込みのタイミングが問題となりますが、申請自体は許認可の取得が見込める段階になった時点で出せる場合があります。ですから事前に窓口で確認するとよいでしょう。ただし、お金が貸し渡されるのは、いずれにせよ許認可取得後となります。

賃貸不動産の契約の前に申請が出せるか?

基本的には申請時点で営業を開始する住所が決まっていることが必要です。しかしながら、不動産賃貸を申し込む場合、多額の初期費用を払って、万一不許可だったら大変です。

これについては、手付金の交付や仮契約書などで、その不動産を借りる蓋然性が高いことを証明できれば本契約前でも申請が受け付けられますが、ケースバイケースとなりますので、これも窓口で確認して下さい。

個人より法人のほうが有利というのは本当か?

結論から言うと、審査には影響はありません。
最近では、会社法の改正で最低資本金の規制がなくなり、資本金1円でも法人登記できるようになりました。そのため、1円でも会社設立できるという謳い文句のハウツー本が出ており、それを参考にわずかな資本金で法人登記をする人がなかにはいます。しかし、日本政策金融公庫の場合、自己資本は創業資金の3分の1以上とされていますので、この時点でアウトということになってしまいます。仮に代表者個人の預金口座に予備の資金が300万円あるとしても、決算書上は債務超過ということになり、金融機関からはマイナスの評価をされることになります。
では、法人化する場合、最低いくらくらい資本金があったらよいかですが、一応、300万円を目安にするとよいでしょう。300万円は旧有限会社法の最低資本金ですから審査の担当者も見慣れおり違和感が少ない金額です。もっともこれはひとつの目安であって、個々の実情にそって資本金を決めるべきです。

自己資金はどうやって確認されるのか?

自己資金は、通帳の原本を見て確認されます。いままで起業の情熱をもって、こつこつ貯めてきたお金かどうかを確認されるわけです。一度に大きな金額が振り込まれていれば、俗に言う『見せ金』でないか細かく追究されます。また金利の高いノンバンクなどを利用していないか、そういった普段野取引もチェックされると考えたほうがよいでしょう。

ちなみに法人を設立した場合ですが、登記上の資本金=自己資金とみなされるわけではありません。親や知人から借りたお金でも登記上の資本金にすることは可能ですから、結局、資本金がどのよう集められたかが通帳でチェックされることになります。

審査を却下された場合、何度でも申請できるか?

一度断られた場合、そのときの記録は残りますから、二度目はよほど修正ができていないと、なかなか簡単には通りません。ですから、最初の申請は十分に内容を吟味して、できれば専門家を使って申請することをお勧めします。

仮に二度目の申請をするのであれば最低6ヶ月間は間をおかないといけません。日本政策金融公庫に断られて、再度日本政策金融公庫に出すよりも、自治体の制度融資を申し込むほうが早いように思います。ただし、その場合でも、一度目の失敗を十分検討して、問題箇所を改善しておく必要があります。

自治体の制度融資を利用する場合の金融機関はどこがいいか?

自治体の制度融資を利用する場合、金融機関は自由に選べますが、信用保証協会と相性がいいのは、いわゆるメガバンクより地方銀行です。

メガバンクは、あまり中小零細事業者を相手にしたがりませんので審査に時間がかかる上、審査が通りにくい傾向があるようです。また、メガバンクの場合、地方では支店が突然撤退することもあるので、信用保証協会とはあまり密接な関係が保てないようです。

審査の面接で関係者は同席できるか?

全般的に関係者の同席は、あまり歓迎されません。税理士やコンサルタント、あるいは、経理担当者を連れて行っても別室で待たされることがあります。

金融機関としては表面だけとりつくろって専門家に説明させ、貸し付けが実行されたら、社長はまったくちがうことをやっているということでは困るわけです。そもそも社長自身が事業計画についてきちんと説明できないようでは、どんな立派な計画書も説得力がありません。担当者は社長の様子や態度などからも社長の事業に対する熱意をはかっているのです。コンサルタントの協力を得たとしても、面接での説明まで他人にまかせるのはNGです。

親族、保証人、役員の金融機関の事故歴は影響するか?

影響する可能性は否定できません。

親が会社をやっていて、過去に日本政策金融公庫の借り入れを滞納している場合、データベースに残っていますから審査で影響を受ける可能性が高いということになります。

また、保証人や役員が、過去に公庫や保証協会の借り入れ返済で事故歴がある場合も審査で悪影響を受けますから、保証人をたてる場合や法人で役員を頼む場合は、事前に確認しておく必要があります。

では、本人が過去にクレジットカードで過去に事故を起こしている場合にすぐわかってしまうかどうかですが、公庫や保証協会は独自のデータベースを持っていて信用情報機関に常にアクセスするわけではないようです。そのため、そのまま審査を通ってしまうことが少なくないようです。もっとも、消費者金融に多額の債務が担当者に知られれば、当然、審査にマイナスになります。

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開業資金と融資対策 “虎の巻”
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